2026/02/01
DX
事業承継タイミングでのデジタル化事例
サマリー
- ビフォー: 創業50年の歴史の中で、給与計算や会計・決算業務が完全に手作業で行われており、給与も現金の手渡しで支給されていた。このため、社長が事務作業に多大な時間を割いており、現金の持ち歩きに伴う盗難や紛失のリスクも常態化していた。
- アフター: 既存の販売管理システムを軸としたデジタル化を推進し、給与計算や会計業務をシステム化を推進。銀行振込への移行によって現金の取り扱いリスクを排除し、事務効率を飛躍的に高めることで、社長が本来の経営活動に専念できる体制を構築する。

📊 会社概要
- 企業名: A社
- 所在地: 大阪府
- 主要な事業内容: 化学製品卸売業(プラスチック用着色剤・添加剤の専門商社)
- 設立・歴史: 約50年の歴史があり、5年前に先代社長から現社長へ事業承継が行われた
- 規模: 従業員数15名
- IT活用状況: 2023年夏頃に現社長の主導のもとに販売管理システム「スマイルV」を導入した。
⚠️ この企業の課題
当社は販売や仕入れのシステム化には成功しているものの、バックオフィス業務において以下の深刻な課題を抱えていた。
- 手作業による事務負担の増大: 給与計算、会計、決算書類の作成が依然として手作業で行われており、業務の生産性が著しく低い
- 経営資源(社長の時間)の流出: 事務作業に社長自らの時間が削られており、経営判断や戦略立案に充てるべきリソースが不足している
- アナログな給与支給に伴うリスク: 給与が手渡し支給であるため、現金の持ち歩きによる盗難や紛失といった安全上のリスクが存在する
- 複雑な計算ロジックの管理: 手当の支給ルールや残業時間の計算など、システム化にあたって整理が必要な個別要件が残っている
💡 課題への解決策 (デジタル化と非デジタル化)
デジタル化による解決策
- 給与・会計業務の統合システム化: 手作業で行っている業務をデジタル化し、効率化を図る
- キャッシュレス支給への移行: 給与の支払いを手渡しから振込対応に変更し、現金管理に伴うリスクを削減する
- 既存システムの機能拡張検討: 現在運用中の「スマイルV」に給与計算や会計機能を追加可能か確認し、データの一貫性を確保する
デジタル化以外の解決策(非デジタル化)
- 業務プロセスの標準化: システムの標準的な仕様に合わせる形で、手当や残業代の計算ルールを見直す。ただし、当社の独自の強みとなる制度などは安易に捨てず、システムとの調和を優先する。
- 段階的な導入アプローチ: 全てを一度に変更するのではなく、対応しやすい項目から順次進めることで、組織への負担と混乱を最小限に抑える。
💻 導入したデジタル化ツール
当社において最も最適と考えられるアプローチは、既存資産の有効活用である。
- 導入ツール: 「スマイルV」の会計・給与計算モジュール
- 選定理由: すでに販売管理システムとして導入実績があり、操作に慣れていること、および販売・仕入れデータとの連携がスムーズに行える可能性が高いため
- 導入によるメリット:
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- 給与計算における手当や残業時間の自動計算が可能になり、入力ミスを削減できる 。
- 銀行振込データ(全銀データ等)の作成により、振込業務そのものも効率化できる 。
- 手作業が削減されることで、社長の時間を大幅に確保できるようになる 25。
- 給与計算における手当や残業時間の自動計算が可能になり、入力ミスを削減できる 。
📝 その他特記事項
- 事業承継後の近代化: 本件は、事業承継から5年が経過した現社長による、伝統的な(44年来の)慣習から脱却し、組織を近代化させるための戦略的な一歩と位置づけられる
- システム会社との連携: 具体的なシステム化にあたっては、現在の計算ロジック(手当の付け方等)がそのまま反映できるか、システムベンダーとの綿密なすり合わせが不可欠である
- 導入の姿勢: 「システムに合わせることで効率化する」という方針を持ちつつも、「自社の強みを捨てない」というバランス感覚を維持することが、現場の定着と企業の成長を両立させる鍵となる。