1. HOME
  2. 経営に強いIT部長のブログ
  3. 中小企業のAI活用は、毎月のExcel転記から始める

経営に強いIT部長のブログ

2026/08/11 AI 中小企業のAI活用は、毎月のExcel転記から始める

こんにちは。株式会社 エムティブレインの山口透です。

月末になると、各工場や営業所から届くExcelファイルを開き、必要な行を集計表へコピー&ペーストする。日付や仕入先名の表記を直し、合計金額を確認する。そんな作業を、毎月繰り返していませんか。

一つひとつは難しくなくても、ファイルが増えれば時間がかかります。忙しい時期ほど、貼り付け先の間違いや取り込み漏れも気になるところです。

中小企業でAI活用を始めるなら、こうした身近なExcelの転記・集計が一つの入り口になります。今回は、何から手をつけ、どう確かめればよいかを具体的に考えてみましょう。

複数の表を見比べ、毎月の転記作業に取り組む担当者
毎月繰り返す転記・集計は、小さな業務改善の候補になります。

なぜ、Excelの転記・集計から始めるのか

「AIを使いたいけれど、何に使えばよいかわからない」。そう感じるときは、普段の業務から繰り返し発生し、手順がおおむね決まっている作業を探してみてください。

Excelの転記・集計には、最初の取り組みに向いている理由があります。

  • 作業を説明しやすい:どのファイルの、どの項目を、どこへ移すかを具体的に示せます。
  • 小さく試せる:一つの部署、一種類の集計、過去の1か月分に範囲を絞れます。
  • 結果を比べられる:これまでの集計結果と照合し、正確さや作業時間を確認できます。

まずは担当者に「毎月、同じ操作をしている作業はありますか」と聞くところから始められます。

具体例:二つの工場の購買明細をまとめる

ここからは、説明用の架空の例です。A工場とB工場から届く購買明細を、一つの月次集計表にまとめる場面を考えます。

担当者はそれぞれのファイルを開き、日付・仕入先・品名・数量・金額を転記しています。ただし、工場ごとに列の順番が違い、仕入先名の表記にも違いがあります。最後に、工場別・仕入先別の金額を集計して完成です。

改善後に目指すのは、次のような流れです。

  1. 対象月の明細ファイルを、決めたフォルダーにそろえる。
  2. 決めたルールで明細を取り込み、一覧表と集計表を作る。
  3. 担当者が件数・金額と、確認が必要な明細を点検する。
二つの工場の明細を一つの集計表にまとめる流れ
入力・処理・出力の流れを決めると、自動化したい範囲が明確になります。

このとき、AIエージェントであるChatGPTのWorkやClaudeのCoworkに、作業手順の整理や、関数・マクロなどの作成を依頼します。毎月の処理は、業務に合ったExcelの機能やプログラムで実行する形も選べます。

AIが作った仕組みも、実際のファイルで正しく動くかの確認が必要です。使っているExcelの環境や社内ルールによって、採用する方法を決めましょう。

作業のイメージがわかりやすいように、ショート動画を作成しています。よかったらご覧ください。

▶ ショート動画をYouTubeで見る

まずは、普段の手順を五つに分けて書き出す

ChatGPTのWorkやClaudeのCoworkに、いきなり「全部自動化して」と依頼するよりも、次の五つを整理すると、必要な処理を伝えやすくなります。

  • 入力:対象のファイル、シート名、必要な列は何か。
  • 処理:何を転記し、どの単位で集計するか。
  • 出力:最終的にどんな表が必要か。
  • 例外:空欄、重複、項目不足があったらどうするか。
  • 確認:件数や合計金額を何と照合するか。

例えば「仕入先名をそろえる」という作業にも、判断が隠れています。略称と正式名称を同じ会社として扱うのか、似た名前の別会社はどう区別するのか。対応表を用意するか、不明なものを確認対象にするかを決めておきます。

担当者が普段何気なく判断していることを言葉にすると、引き継ぎや手順の共有にも役立ちます。

AIエージェントへの依頼は、完成形と確認方法まで伝える

AIエージェントであるChatGPTのWorkやClaudeのCoworkに依頼するときは、例えば次のように伝えます。ファイルの構成や利用環境は、自社の状況に合わせて補足してください。

A工場とB工場の購買明細を、毎月一つのExcel集計表にまとめたいです。日付・仕入先・品名・数量・金額を取り込み、工場名と元ファイル名も残してください。工場別・仕入先別に金額を集計します。

必要な項目がないファイルや、金額が数値になっていない行は、確認用の一覧に出してください。重複の疑いがある明細は、勝手に削除せず確認対象にしてください。元ファイルは変更しないでください。

まず、実現方法と、私が決める必要のある点を整理してください。その後、取り込み件数と合計金額を元データと照合する方法も提案してください。

最初に方法と不明点を整理してもらい、内容を確認してから作成へ進むと、認識のずれに気づきやすくなります。

小さく試して、確認してから広げる

最初の検証には、過去の1か月分のコピーを使い、これまでの手作業の結果と比較します。ChatGPTのWorkやClaudeのCoworkに渡すデータは社内ルールを確認し、試作では架空・匿名化したデータを使いましょう。

担当者同士で集計結果と元資料を照合し、確認する様子
集計できたことに加え、漏れや重複がないことも確かめます。

確認したいのは、合計金額だけではありません。対象ファイルがすべて取り込まれたか、明細の件数が合うか、抜けや二重計上がないかも確認します。列の順番が変わった場合や、同じファイルを二度入れた場合も試しておくと安心です。

効果を測るときは、転記にかかった時間だけでなく、ファイルの準備、結果の確認、修正まで含めて比べます。処理が速くても、確認に手間がかかるなら、そこが次の改善点です。

運用を始める際には、実行手順と、エラーが出たときの連絡先も残しておきましょう。月ごとの様式変更に誰が対応するかまで決めると、継続して使いやすくなります。

まずは、毎月繰り返している作業を一つ選ぶ

AI活用の第一歩は、「毎月、この転記に時間がかかっている」という身近な気づきから始められます。

作業を一つ選び、手順を書き出し、小さく試して、結果を確かめる。その過程で得た手順や確認方法は、次の業務改善にも生かせます。空いた時間を、数字の変化を読み取ったり、現場と改善策を話し合ったりする時間につなげていきましょう。

「このExcel作業も改善できるだろうか」と思われたら、株式会社 エムティブレインへお気軽にご相談ください。普段の作業の流れを出発点に、自社に合う進め方を考えてみませんか。

業務改善・生成AI活用について相談する

関連記事:生成AIを活用したコピペ作業の改善事例